ファイナンシャルプランナー(FP)に住宅購入、あるいは売却の相談をすることで、単なる物件選びやローンの試算だけではなく、人生全体のライフプランから見て、その選択がふさわしいのか? 数値と根拠に基づいて確認できるようになります。
家を買う、または売るという行為は、多くの人にとって一生に一度の決断です。なのに冷静になれず「今の年収で住宅ローンが組めるから」「営業マンに勧められたから」といった理由で判断し「後から家計が破綻する」とか「生活に無理が生じる」といったトラブルに直面する人がいます。
一般的なサラリーマンであれば住宅ローンは25~35年の期間、払い続けることになります。今から35年後の生活状況を正確に予測できる人は皆無だと思います。そこで問題が起こりそうなことを事前に把握しておき、最悪の状況が発生しないようにFPは「助言をする」という立場です。
具体的な例をいくつか挙げてみます。
1.住宅ローンの返済が「家計に与える影響」を把握できます
住宅ローンは月々の支払額だけを見て「払えそう」と判断しがちですが、FPはもっと広い視点から検討します。
- 将来の教育費(子どもが何人、大学進学は?)
- 車の買い替えサイクル
- 保険料の変化
- ご自身や配偶者の定年時期と収入減の見込み
- 万が一病気や事故で働けなくなった場合の影響
など、人生のさまざまな局面を想定して、今後20年、30年にわたって住宅ローンを返済していけるかどうかを、シミュレーションします。
「今の生活は大丈夫でも、10年後に教育費がピークになると家計が破綻する可能性がある」といったような“見えないリスク”が浮かび上がることもあります。FPは、こうしたリスクを事前に把握し、無理のない返済計画を一緒に考えることができる存在です。
2.「買った方が得か?」「借りた方が得か?」を数字で比較できます
「家賃を払い続けるのはもったいないから、買った方が得」と言われることがありますが、それは本当に正しいでしょうか?
FPは、住宅購入にかかる初期費用・維持費・金利負担・固定資産税・修繕費・将来の売却価値などを考慮しながら、家を買った場合と借り続けた場合の総支出を比較することができます。
また、定年までにローン完済が間に合うのか、将来住み替えが必要になったときに売却可能か、リフォーム費用はどれくらい発生するかなど「単純な損得」ではない人生設計上の視点を加えて総合的に判断します。
結果として「まだ買わない方が安心です」「賃貸の方が柔軟性が高いです」あるいは「不要な不動産は売却した方が得です」「資産価値が高いので子孫のために残す方が得策です」等といった結論に至ることも珍しくありません。
3.老後資金や退職後の生活など「長期的な資金計画」が立てられます
住宅ローンの返済は35年に及ぶことが多く、70代前半まで続く場合もあります。「定年後も住宅ローンが残っている状態」が当たり前になりつつある中で、老後の年金収入と生活費、医療費などをシミュレーションし「本当に完済できるのか?」「老後資金は足りるのか?」という現実的な見通しを立ててます。
年金が月12万円の見込みなのに、70歳までローン返済が月10万円続くようなケースでは、老後破綻のリスクが非常に高くなります。このようなケースでも「ローン年数を短くするには?」「物件価格を下げる方法は?」「退職金の活用は可能か?」など、具体的な改善策を一緒に検討できます。
4.生活全体のバランスから「住宅の適正価格」がわかります
不動産会社が提示する「年収から見た借入可能額」は、金融機関の審査基準に過ぎません。しかし、借りられる金額=無理なく返せる金額ではないことは言うまでもありません。
ファイナンシャル・プランナーと話すことで、“自分にとって無理のない住宅価格”を明確に知ることができます。
「他の生活費を圧迫せず、将来の備えも確保しつつ、安心して暮らせる物件価格はどの程度か」を家計データに基づいて試算することで、「買える物件」と「買ってよい物件」の違いを理解できるようになります。
5.不動産の売却にも中立な立場でアドバイスをもらえます
売却のタイミングや価格、税金のこと、相続や贈与に関する不安も、FPは広くサポートできます。特に「売った方がいいのか、持ち続けた方がいいのか」と迷っている場合、FPの中立的なアドバイスは非常に有効です。
不動産会社は売却が成立することで収益が発生しますが、FPは相談者側の視点で「人生全体にとってどちらが良いのか?」を考えます。
FPに相談して分かる事・まとめ
ファイナンシャル・プランナーに相談することで、解る事の例です。
- 住宅ローンの影響を家計全体から判断できる。
- 購入か賃貸か、どちらが得かを数字で比較できる。
- 老後資金や教育費を含む長期的な資金計画が立てられる。
- 無理のない住宅価格が明確になる。
- 不動産売却についても中立な視点からアドバイスがもらえる。
といった多面的な上限を得る事が出来るでしょう。不動産の専門家(業者)は「家を売るプロ」ですが、FPは「あなたの人生を支えるプロ」です。人生全体のバランスを大切にしたいなら、一度FPに相談する価値は十分にあるといえるでしょう。
不動産の売買は多額の現金が移動します。都市部では一億円を超える物件も多数存在します。その多額の契約金額と比較してFPへの相談料はごく僅かです。そのわずかな金額を惜しんで将来後悔する事が無いように「私の過去の失敗からも」FPに相談することをお勧めします。